ふるきのガベージコレクション2

脳内を通り過ぎたイメージの残骸の記録

JR上野駅公園口 柳美里

JR上野駅公園口 (河出文庫)

柳美里の本を読んでみたいと考えていたところへ、全米図書賞受賞とのニュースがタイムラインに流れてきて、この機会に読んでみることにした。

福島県出身のホームレス男性の今と来し方と終末の瞬間までを回想シーンを積み重ねて書かれている。

自分にとっての実感のあるホームレスは、学生時代にアルバイトをした大阪、日本橋で段ボールを集めていた人たちと、今の最寄り無人駅で数年前の約半年間、暮らしていた男性。どちらもこぎれいにしていてあまり不快感を感じさせず、どんな暮らしをしているかを想像してみた記憶がある。

今の自分の状況からは遠い世界なのだが、いくつかのもしもが重なるとどうなるかわからないという漠然とした不安感はある。その時になって、その状況を受入れて生きることができるのか、あるいは気力を失って生きられなくなるのか。それでも生きている彼らは強い人たちなのかと考えたりする。