Amazonのセールで慌てて選んだ数冊のうちの1冊。著者のアルコール依存症体験をもとにした、一種の啓蒙小説だと思う。
小説の中で語られる知識は多岐に渡り、病人が一番、病気を知っていることを再認識させてくれる。でも、知っていてもそれが実行できるとは限らないところが人生を面白く、苦しくしている。
自分にとっては健康診断対策。どの対策もQoLを下げるものばかりで、守れたり守れなかったりで日々、一喜一憂している。現時点を楽しく楽に過ごす安楽を譲れない気持ちは良くわかるし、将来へのリスクはできるだけ小さく見積ることで不安を消し去ろうとする。なんとか成り立っているバランスが、何かの理由で崩れると病気が入り込んでくるのだろう。
啓蒙小説だと書いたが、読後感は酒をやめなさいというような厳しさではなく、何とか生き抜いて行こうぜと同志に呼びかけているような優しさを感じるものだった。