ふるきのガベージコレクション2

脳内を通り過ぎたイメージの残骸の記録

ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界 阿部謹也

ドイツの伝説である"ハーメルンの笛吹き男"について、ドイツ中世の豊富な知識を背景に説明した本。謎解きに引き込まれていくうちにいつの間にか中世ヨーロッパの暮らしについての基礎知識がつくという、歴史バラエティ番組の高級版のような本だった。

中世ヨーロッパ史が専門の著者はのちに一橋大学の学長になる。当時の学内政治事情などは全く知らないが、経営や経済、法学の本流からではなく、おそらく教養の先生だった著者が学長に選ばれたのはすごいなと思う。人物本位だったのか、妥協の結果の消去法だったのかなどと考えてみるが、権威主義的な学校では起きない話だろうから、一橋大学はそういう大学なのだろうなと想像している。