ふるきのガベージコレクション2

脳内を通り過ぎたイメージの残骸の記録

遠い太鼓 村上春樹

1980年代後半に著者がギリシャ、イタリアに滞在して3年間を過した生活記録をエッセイとしてまとめた本。バブル前夜のこの時期、海外旅行は当たり前のものになり、その基礎情報としての滞在記には人気があった。海外ならではの様々な小事件が起きてその解決に奔走する話はいろいろな雑誌に掲載されるエッセイでの定番ネタになっていたと思う。

自分も海外出張での現地駐在員の様子をみて、自分も駐在してみたいと思ったこともある。お客さんの気楽さの延長の幻想だったはずなので、実行に移さなかったのは賢明だっただろう。10歳若ければバックパッカーをやって怖い目に遇っていたかもしれない。そのくらい海外が身近な時代だった。

インターネットで様々な情報が集まり、4Kテレビで臨場感の高い映像が見られる今、観光地の答合わせのような旅行はあまり意味がなくなってきている。そんな時代の滞在記を読んでみたいのだが、もしかするとYoutubeを探さないと良いものはみつからないのかもしれない。