ふるきのガベージコレクション2

脳内を通り過ぎたイメージの残骸の記録

今年も雪の季節

昨日の夕方、外に出たら霙のような雪が降っていた。今年も雪の季節が始まる。

小学生時代は、雪の中1㎞以上の通学路を歩くのが苦痛だった。子供の長靴は背が低いので雪が入りやすく、数十メートル歩いては雪を掻きだしていた。それでも冬はこういうものだと受け入れていたが、小学5年に親の転勤で大阪に引っ越すと、晴れ渡る空が毎日続く冬を経験して、それまでの冬が地獄だったのだと気付かされて心底嫌になった。

中学3年で戻ってきて、再び憂鬱な冬が戻ってきてしまったが、体が大きくなっていたり、長靴からスノトレという冬靴に装備が改善されたりして、苦痛は少しは和らいでいた。でも冬が嫌いであることには変わりはなかった。

大学時代も大阪で過ごしたが、その途中からクルマに乗り始めて世界が変わる。クルマに乗れば雪の中でも快適に移動できる。クルマを運転することの万能感の一部として冬を克服できたような気がした。それでも、冬タイヤへの交換作業とか雪かきとか鉛色の空とか、冬の憂鬱のネタは尽きないのだが、仕事も忙しくなってきてそれどころじゃない生活が始まると、冬のつらさも緩んでいったような気がする。

今では、雪の合間に数分だけ晴れた時の白い世界の美しさとか、除雪機作業がうまくいった時の達成感とか、雪との暮らしの中の楽しさを感じることも多くなった。約60年にしてようやく受け入れる気持ちが出てきたのは、人生の冬の時期を迎えたあきらめの一部なのかなと考えている。