ふるきのガベージコレクション2

脳内を通り過ぎたイメージの残骸の記録

同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬

独ソ戦で家族を殺され村を焼かれた少女が、狙撃兵として成長していく物語を描いた小説。

とにかくぐいぐい引き込まれていく物語と描写に圧倒された。普通の小説では中断して再開する時には再び物語に入っていく時に若干のタイムラグがあるのだが、この小説は再開した瞬間に物語の世界に一気に引き込まれていく。何がそうさせているのかはわからないのだが、とにかく自分にとって特別な読書体験になった。

また、狙撃兵という兵種の特徴、他の兵種との違いや督戦隊の存在など、ロシア陸軍に関する描写も豊富で、現在のウクライナ戦争の理解の解像度が上がったように感じる。

21世紀の今現在もこの状況が続いている場所があることを再認識させてくれた本だった。